Je te aime ~愛しき人よ永遠に~
駐車場に車を止めて、砂浜を歩いた。
『無口なんだね。』と言われハッとした。
そして、慌てて答えた。
『紹介とか初めてて、どうして良いか分からなくて。
すみません。』
すると渡辺さんはニッコリ笑って言った。
『今まで付き合った人とか居なかったの?』
笑顔が一瞬文に似ていた。
胸がズキッと痛んだ。
私は渡辺さんの顔を見ずに答えた。
『誰とも付き合ったことは無いです。』
すると渡辺さんはへぇっと少し驚きながら私に聞いてきた。
『好きな人は居たでしよ?』
確か居たんだよね?』
私は驚いて渡辺さんに詰め寄った。
『何故それを知ってて頼んだんですか?』
すると渡辺さんはサラリと答えた。
『そんな事気にしないから。』
!!!
笑顔は一瞬文に似ているが、この人は文とは全く正反対の人間だ。
帰りたい。
そろそろ帰りませんか?と
言おうとした時、渡辺さんが言ってきた。
『お腹空いたね。何か食べに行こう。』
またしても、私は頷くしか無かった。
完全に渡辺さんのペースで物事が進んで行った。
抵抗する暇も与えてはくれなかった。