Je te aime ~愛しき人よ永遠に~
角の一軒家に止まった。立派な門構えに《彩貴》と表札があった。
車を降りて、文の後に続いて門をくぐり、玄関に入って行った。

『ただいま。』文は奥の方に向かって言った。

私は続けて言った。
『お邪魔します。』

すると奥から優しい女性の声が返ってきた。
『おかえりなさい。』


文の優しい声は母親譲りなんだと思った。
文が階段を上がってゆく。
私は文の後ろに続いた。


階段を上がり両側に別れているドアの右手の奥の部屋に入った。


初めての文の部屋は、風が優しく吹き込み、明るいフローリングの部屋でベッドがあって、テーブルが置いてあり、無駄な物が無く、でも温かみのある空間だった。


私はテーブルの所にチョコんと座った。
文は向かいに座った。


2人きりの時間だった。
清潔なカーテンが風に揺られている。


口を開いたのは文の方だった。



< 58 / 87 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop