Je te aime ~愛しき人よ永遠に~
明らかに私より年下の男の子がナーちゃんの前で立ち止まり声をかけた。
『待ってたよ。』

ナーちゃんは御機嫌な声で男の子に返事をした。
『ごめーん。アッ。この子アヤって言うの。連れてきたよ。』


私は事態が飲み込めずその場に馬鹿みたいに突っ立っていた。
するとその男の子はいきなり私の手を取り握手しながら言った。
『初めまして。駿(しゅん)です。宜しく。』


私はその手を振り離しナーちゃんに向かって言った。
『これ。どういう事よ。』

ナーちゃんはすまして言った。
『別にどうもしないけど。いけなかった?』

私はフゥと溜め息を着いて自分を落ち着かせた。
確かに私が傍に居るし、私は門限までに帰れば良いし、その時ナーちゃんも連れ帰れば良い。


その男の子に向かって言った。
『宜しく。』


駿はナーちゃんと手を繋ぎ奥へ連れて行った。私は二人の後ろを複雑な思いで付いて行った。
するとテーブルにはもう1人男の子が居た。

色白で長身で細身、モデルみたいで笑った顔も凄く綺麗。
所謂イケメンだ。


『こんばんわ。』
ナーちゃんに言った。後私にも同じ言葉を言った。
私はその男の子を危険と判断した。

『初めまして。夏樹と言います。』


私はポツリと言った。
『アヤです。』

それから4人でビリヤードに興じた。
時間を気にする私にナーちゃんが言った。
『アヤ。大丈夫だよ。時間になったら一緒に帰るから。』


私はホッとして時間を一緒に気にしてくれていると安心した。
ナーちゃんが駿に目配せをしていたとは知らずに。



私は夏樹に促されビリヤードを始めた。
馬鹿だった。
今なら分かる。
嫌。ナーちゃんの性格を私は知っていたのに油断したのた。





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