Je te aime ~愛しき人よ永遠に~
私は両親にバイトの事を報告した。
母はヒステリックに騒いでいた。
父は一言だけ私に言った。
『学校の勉強は疎かにしないように…。』
私は父の言葉だけ耳に入ったので、コクりと頷いて自分の部屋に向かおうとしたら、母に腕を捕まれた。
『お母さんはまだ、終わってないわよ!何で何時も勝手に決めてしまうの!』
母の言葉に疑問符は付かない。
思ったことを直ぐに口に出すのが母親の何時ものパターンなのだ。
だから私は母には何も言わない。言いたくない。
口を閉ざし、耳を塞ぐ。
すると決まってこう言う。
『あんたはお父さんそっくり!何を考えてんのか分からない!』
私はその言葉を鼻で笑う。
それは私や父を知ろうとしないだけ。
私は捕まれた腕を振り払って自分の部屋に入り鍵を閉めた。
鍵は自分で付けた。
机に本棚、コンポが置いてあるだけのシンプルな部屋だ。
女の子らしい物が1つもない。
天井には海外アーティストのポスターが一面に貼られていて、本棚には自分で作ったバイクのプラモデルがズラリと並んでいる。
部屋の外で騒いでいる母親の声を聞きたくなかったので、ヘッドホンを着けて音楽をつけながら寝転がった。
接客かぁ…。
人付き合い苦手なんだよなぁ…。
まぁ、何とかなるかなぁ…。
早く大人になりたい。こんな生活続けていけない。
色んな事が頭の中を駆け巡った。
未来なんて分かんない。だって明日の事でさえ分からないんだもん。
どんな大人になんのか自分の事でも分かんない。
ただ、私は変わりたい。
今の自分から変わりたい。
この狭い世界から抜け出したい。
そんな事を思いながらいつの間にか眠りに落ちていった。