未練~だけどまだ愛してる~
先輩と出会い、連絡を取る中で、いい人だなと実感していった。時間をかけてでも先輩を好きになれたら、私は大空と別れても後悔はしないし、私なんかとは別れることで大空も私よりいい女の人が現れて、本当の意味での理解者でありパートナーができると思った。

夏の夜、大空の仕事が終わるといつものように電話した。私は決心していた、今日で大空とのこの関係を終わりにしようと。

「もしもし、今日はちょっと私から話があるの。実はね、好きな人ができたの。相手も私のこと好きみたいで、脈ありなの。だから、大空とは別れたい。」

大空は黙ってしまった。電話口では泣いているような感じだった。少し時間が開いて、大空の声が聞こえた。

「それは俺が女だから?」

来るとわかっていた質問。でも実際に言われるとすごく辛かった。だってその通りだから。私は大空の隣でいきることよりも、女としていきることを選んだのだから。でも、もしここで私がそうだと、言ってしまったら…きっと大空は次の恋いに進めなくなる。だからこそ私は嘘をつかなければならなかった。

「違うよ。大空の性別は関係ない。好きになったのはありのままの大空だし、その大空を越える存在が現れたって、ただそれだけだよ。女だからって理由にはならないよ。」

泣く声を押し殺し、言ったその一言は、大空にわかったと言わせる他ないものだった。

「今までありがとう。大空と出会えてすごくうれしかったし、幸せだった。これからも、体には気をつけて。さようなら」

別れた今でも私は大空を愛してる。決してかなうことはないけれど、この気持ちは一生消えないと思う。

ねぇそら。もうあのころには戻れないけど、大好きだよ、愛してる、きっとずっと…




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