スケッチブックに描くもの
「うん。あ、エクレア、美味しいよ」

 佐伯君は笑ってエクレアの袋を開ける。

「あ、やっぱりもう少し冷えてる方が美味しいな」
「うん。でも、美味しい」

 う、私は困ってる。佐伯君の策略なのはわかったんだけど、この先はどうすればいいの?

「お昼も? この状況も? 佐伯君の策略?」
「そう。エクレアも」

 いや、エクレアは私です。ああ、どう反応していいかわかんない。

「鏡野ってさあ、佐々木部長が好きなの?」
「へ!?」

 どういう誤解。

「違う。好きなのは佐伯君」

 あ、言っちゃったよ。こういう告白なんて予定にない。食べ終わったエクレア袋を握りしめて言っちゃたよ。

「僕も鏡野が好きだよ」
「う、うそ。だって全然……」
「鏡野だって全然そんなそぶり無かっただろ?」

 あ、うん。そうだ。全く話かけもしなかった。
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