スケッチブックに描くもの
「はじめて会った日って」
「桜が舞い散ってた、あなたが津島先輩と試合した日」
「ああ」

 佐伯君は笑ってる。もう、なんなのよ。笑え……るかもしれないけど笑わなくてもいいでしょ!?

「ごめん。僕もその時に君を見てたよ」
「嘘、不機嫌な顔してた」
「不機嫌だったから。佐々木部長に追い出されてその日は部に来るなって」

 そりゃあ不機嫌な顔するね。佐々木部長、言いそう。

「だったら」
「僕が見た君は桜を見てたよ」

 あ、タイミングが違ってるんだ。私が佐伯君を見た瞬間と、佐伯君が私を見たのと。

「タイミング違い?」
「そうみたいだね」
「ふーん」

 う、これってどうなるの? はっきり言いあったよね。好きだって。
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