スケッチブックに描くもの
「あのさ」
「うん?」
「いつまでこのまま?」

 あっ! 彼に、涼に抱きついたままだった。
 慌てて涼から離れたら見えた。あ、階段のとこに人だかりができてる。

「あ、見えちゃった?」
「うん。バッチリ」
「じゃあ、向こうもバッチリだね」

 ああ、みんなにもバッチリ見えてるよ。何の策略?

「あの、もしかしてお芝居?」

 傷が浅いうちに聞いとかないと遊ばれた?

「違うよ。これで事実が伝わるだろ? 余計な心配がへるから」

 余計な心配って何?
 と聞こうとすると弁当箱持って立ち上がった。

「そろそろ授業だよ。行こう。アリス!」

 慌てて弁当箱を持って立ち上がる。階段を見るともう誰もいなくなってる。蜘蛛の子散らすとはこのことかって勢いでみんな散って行ったみたい。
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