スケッチブックに描くもの
「あの……」
「僕の家がどこか気になる?」
「あ、うん」
そう、ここまで一緒? と思いました。学校からここまでかなりの距離があるんだけど。
「鴻池神社」
「ん?」
「僕、俺の家鴻池神社なの。家を親父が継いだって言っただろ?」
「ああ」
鴻池神社はこのすぐ先にある。疑ってごめんなさい。
「疑ってた? 僕がつけてたとか?」
「いや、あの。少し」
「まあ、僕もビックリしたけど。アリスがここに入ってって」
神社継がしたくて大げさに芝居をしたんだ。涼が入学したてなのに。
「なに、笑ってるんだよ?」
「ん? いろんな偶然だなー。って思っただけ」
「まあな」
「じゃあ、明日ね!」
「ああ、明日」
私の家の前の道は直線だ、その先に鴻池神社はある。
別れたけれど見ずにはいられなかった。いや、疑っているわけじゃじゃないよ。彼を見ていたくって。あ、私って案外乙女なんだな。あの後ろ姿を遠くからずっと見ることになるって思ってたのに。私の横にずっといてくれるんだ、これから先。
人の出会いなんて偶然の重なりだな。彼がこの学校に来たのもあの日のあの場所に私と彼がいたのも、そして今日彼に朝声をかけたのも全て偶然だったのに。
「アリスなにしてるの?」
声の方を見る、買い物帰りお母さんだった。ヤバっ!
「あー、景色見てたの。今度は何を描こうかと思って」
苦しい言い訳してみた。他に何も思いつかなかった、玄関の前で立ち止まってる理由を。しかも道を見てるし。
「そう、もうそんなに焦って描くの?」
母にはこれで通じたようだった。良かった。
しきりにニヤニヤをしてしまう自分を隠せず、自分の部屋にこもる。はあー。
今まで好きになったと思っていた人はいたけど、付き合うとなんか違ってると思えてきて上手くいかない。というかあっという間に解消してしまっていた。
今日は違っていた。確かに涼はクラブのあいだと私の前では態度が違ってる。けれどその違いも私には心地いいものだった。変なの。
「僕の家がどこか気になる?」
「あ、うん」
そう、ここまで一緒? と思いました。学校からここまでかなりの距離があるんだけど。
「鴻池神社」
「ん?」
「僕、俺の家鴻池神社なの。家を親父が継いだって言っただろ?」
「ああ」
鴻池神社はこのすぐ先にある。疑ってごめんなさい。
「疑ってた? 僕がつけてたとか?」
「いや、あの。少し」
「まあ、僕もビックリしたけど。アリスがここに入ってって」
神社継がしたくて大げさに芝居をしたんだ。涼が入学したてなのに。
「なに、笑ってるんだよ?」
「ん? いろんな偶然だなー。って思っただけ」
「まあな」
「じゃあ、明日ね!」
「ああ、明日」
私の家の前の道は直線だ、その先に鴻池神社はある。
別れたけれど見ずにはいられなかった。いや、疑っているわけじゃじゃないよ。彼を見ていたくって。あ、私って案外乙女なんだな。あの後ろ姿を遠くからずっと見ることになるって思ってたのに。私の横にずっといてくれるんだ、これから先。
人の出会いなんて偶然の重なりだな。彼がこの学校に来たのもあの日のあの場所に私と彼がいたのも、そして今日彼に朝声をかけたのも全て偶然だったのに。
「アリスなにしてるの?」
声の方を見る、買い物帰りお母さんだった。ヤバっ!
「あー、景色見てたの。今度は何を描こうかと思って」
苦しい言い訳してみた。他に何も思いつかなかった、玄関の前で立ち止まってる理由を。しかも道を見てるし。
「そう、もうそんなに焦って描くの?」
母にはこれで通じたようだった。良かった。
しきりにニヤニヤをしてしまう自分を隠せず、自分の部屋にこもる。はあー。
今まで好きになったと思っていた人はいたけど、付き合うとなんか違ってると思えてきて上手くいかない。というかあっという間に解消してしまっていた。
今日は違っていた。確かに涼はクラブのあいだと私の前では態度が違ってる。けれどその違いも私には心地いいものだった。変なの。