スケッチブックに描くもの
「涼?」
「あ、アリス。じゃあ」

 と、私の方に涼は走ってくる。女の子は私ではなく涼を見てる。凄いな。それはそれで。私を完全無視?

「何話してたの?」
「試合応援してるから頑張ってだって」
「それだけ?」
「それだけっていうか、その後お前が話かけたんだろ」
「迷惑だったんだ」
「もう、違うって。その後の話はないってこと」

 がばっと私の肩を抱いて、

「ほらもう時間。行かないと」

 と次の試合会場まで行こうとする。

「うん」


 着くなり私の肩にあった腕を取り本気モードの顔つきになる涼。
 前に行くと、周りの空気が変わる。みんなこの前の事を思い出しているんだ。

「さあ、いまから本番だと思え!!」

 佐々木部長のゲキが飛ぶ。

「はい」

 レギュラーもそうでないものも、みんな一丸となってる。
 いいなあ。運動部ってこういうのがあるんだよなあ。一人部外者な私。

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