スケッチブックに描くもの
 夏休み次々にくる試合に備えてテニス部は練習漬けの日々。そして私は日焼け止めを塗って帽子の陰で絵を描く日々。


 ついにきた。関東大会準々決勝!!

 試合当日も暑い。つい探してしまうあの子。いた、いつもいる。私の事気にならないのかな? っていうか私の方が気にしてるのがおかしいのかな?

 一回戦岡田先輩敗退。

 やっぱりここまでくるとみんな強い。


 二回戦負け知らずの駿河先輩が接戦でようやく一勝。

 やっぱり強い。あの駿河先輩が苦戦してるなんて。


 三回戦のダブルス。コンビネーションが上手く取れず敗退。


 四回戦。涼だ。ここまで負けなしだった。というか負けたら終わる。

 ガタイがいい三年生相手にコートをかけまわる。暑さと体力の違いが浮き彫りになる。ああ、もう見てるの辛い。

 涼は粘りに粘り最後にサーブを決め、勝った。はああ。息をした。息してた私?



 最後は佐々木部長だ。何あれ? 高校生? 普段は大きく見える佐々木先輩が細く見える。

 大丈夫なの? 私の不安をよそに涼しい顔で勝ち進む佐々木先輩。なんなんだあの人。

 これでようやく準決勝へ進む!!

 帰りの電車は佐々木先輩が何度も注意するほど部員たちは大はしゃぎ。なぜか、部員でない私もいれて打ち上げまで。

 何にもしてないマネージャーの気分になる。


 涼も今日の勝利は嬉しかったのかすっごいおしゃべりになっていた。ああ、こんなに楽しい日々がくるって。
< 50 / 64 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop