スケッチブックに描くもの
「鏡野明日は学校来いよ。友達も待ってるぞ」

 友達は莉子の事だろう。莉子から様子を聞いたのかもしれない。

「行けない。もう、涼がいない……」

 ああ、もう言うつもりなかったのに。

「もう、忘れろ。テニス部に絵も描きに行くな! 自分の部室に行けよ」
「だって、だって」

 子供の様だ何でこんな駄々こねてるの私?

「あーもー!俺がついててやるから。な?」

 え、そんな子供のお使いみたいな。

「鏡野アリス。好きだ俺と付き合え」

 ベットを背にしてる私の体の両側に手をついて言われた。え!? 何?

「あ、え? 佐々木先輩、今のって」

「同情じゃない。ずっとお前がコートに来た時から好きだった」

 あ、莉子の言ってた事は本当だったんだ。

「あ、えっと。いや、すぐには」

 心の整理が出来ないよ。

「今じゃなくていいから、ただずっとそばにいるから。学校来いよ。飯食え。わかったか」
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