スケッチブックに描くもの
「いってきまーす」
「アリス。はい。お金。落とさないでよ。ちゃんと食べるのよ」
「わかった。わかったってば」
玄関を出るともう佐々木先輩が待っていてくれてた。
「なんだ。先輩来るの家の中で待ってたのに」
「いや、恥ずかしいだろ」
昨日家に入った人が何を言ってるんだか。佐々木先輩の恥ずかしいの定義がわからない。
「どこが?」
「え! いや、付き合ってるみたいだろ」
「付き合ってるよ」
「え!? いつから? いや、時間くれみたいな事言ってただろ?」
佐々木先輩慌て過ぎだよ。
「うん。時間が欲しい。でも、私と付き合って欲しいの。だから、約束? みたいな」
「あー。訳がわからないけど。わかった。待ってるよ」
そう、想ってもらっていたんだ。涼と二人でいるのをずっと見てたんだ。苦しい想いを抱えていたんだろう。涼が女の子に話かけられて、あんなにも私は彼女の存在を気にしたんだ。あれが毎日だった。それでも、絵が描き終わった私にテニス部に来るように言ったのは私の為だったのかもしれない。自分の為ではなく。
「アリス。はい。お金。落とさないでよ。ちゃんと食べるのよ」
「わかった。わかったってば」
玄関を出るともう佐々木先輩が待っていてくれてた。
「なんだ。先輩来るの家の中で待ってたのに」
「いや、恥ずかしいだろ」
昨日家に入った人が何を言ってるんだか。佐々木先輩の恥ずかしいの定義がわからない。
「どこが?」
「え! いや、付き合ってるみたいだろ」
「付き合ってるよ」
「え!? いつから? いや、時間くれみたいな事言ってただろ?」
佐々木先輩慌て過ぎだよ。
「うん。時間が欲しい。でも、私と付き合って欲しいの。だから、約束? みたいな」
「あー。訳がわからないけど。わかった。待ってるよ」
そう、想ってもらっていたんだ。涼と二人でいるのをずっと見てたんだ。苦しい想いを抱えていたんだろう。涼が女の子に話かけられて、あんなにも私は彼女の存在を気にしたんだ。あれが毎日だった。それでも、絵が描き終わった私にテニス部に来るように言ったのは私の為だったのかもしれない。自分の為ではなく。