ぶきような想い



「シオンはさ…好きな人いるの?」










言ってしまった



私は聞く怖さと緊張で心臓がかなり早くなっている










「あ〜…まぁいるかな」





「いるんだ…」










シオンには好きな人がいるのに

私に振り向いてくれる筈がない



今までの私の頑張りは無駄だったってこと?










「いるなら…いるって言ってよ!
いつまでも期待しちゃったじゃん」










こんな時にもなんでこんな可愛くないことしか言えないのだろう










「いや…言う必要ねぇもん
ってか、そんなこと気にするなよ」










気にするな?

気になるに決まってる



でもシオンにそう言われては気にしてないふりをするしかない











「うん、わかった」





「おー」









それからはずっと気まずいままの空気が過ぎていった





私がシオンに頼っていいと言われ
少しは距離が縮まった気がしたけど


それはただの願望混じりの夢だったんだ




シオンには好きな人がいるんだから…




私が入るところなんてないんだ





< 91 / 263 >

この作品をシェア

pagetop