ぶきような想い
「シオンはさ…好きな人いるの?」
言ってしまった
私は聞く怖さと緊張で心臓がかなり早くなっている
「あ〜…まぁいるかな」
「いるんだ…」
シオンには好きな人がいるのに
私に振り向いてくれる筈がない
今までの私の頑張りは無駄だったってこと?
「いるなら…いるって言ってよ!
いつまでも期待しちゃったじゃん」
こんな時にもなんでこんな可愛くないことしか言えないのだろう
「いや…言う必要ねぇもん
ってか、そんなこと気にするなよ」
気にするな?
気になるに決まってる
でもシオンにそう言われては気にしてないふりをするしかない
「うん、わかった」
「おー」
それからはずっと気まずいままの空気が過ぎていった
私がシオンに頼っていいと言われ
少しは距離が縮まった気がしたけど
それはただの願望混じりの夢だったんだ
シオンには好きな人がいるんだから…
私が入るところなんてないんだ