君がとなりにいた日には
新しい出会い
家に着いた時には、記憶は薄れていた。
もぉ、私に生きる望みはない。
いっそ、死んでしまおうかなと思った。
でも、出来るわけないよね。私は弱い。
もう、明日からさとみに顔向けできない。
あーー!もぉ、考えるのが辛くなってきた。
「ちょっと、お母さん。公園行ってくる!」
「え、ちょ、ちょっと、柚衣!?」
私はその場所から逃げ出したくなって、どこでもいいから走りたくなった。
公園についたのはいいもののあたりは真っ暗。
私の心の中みたいね。
そう思っていると、向こうから走ってくるのが見えた。
あれは誰だろう。
すると
ばたん...、
「いって〜、うわ血出てる」
「んん?だれだろう?ジャージ?ジョギングでもしてんのかな。」
なぜか、こっちによってきた。
「あ、あれ、こんな暗いのにどうしたの?」
急いで、涙を拭いた
「あ、いや、別に...」
「あー、そーなんだ。」
「いや、女の子一人だと危ないなと思って。」
意外と優しい。見た目はチャラそうだけどそうでもないのかな...。
「あ、うん、ありがと...。あの...さ見るからに高校生だけど学校どこ...なの?」
「あー、俺?、俺は蜷園高校だけど。」
「あー、私も一緒!」
「え、まじで!?」
「うん!名前...。まだ聞いてなかった。」
「あー、たしかに...。俺の名前は」
‘向山陽向’
「陽向...。」
「おう!」
男の子の名前読んだの、聖也以来だ...。
「そーいえば、君はなんてゆうの?」
「わ、わたし!?私は...。山下柚衣。」
「柚衣か...、いい名前だな。」
いままで暗い気持ちだったのが一気に吹き飛んだ。太陽みたいな人だ。
そうやってたら、時間が11時を回っていた。
「あーー!もーこんな時間!帰らなきゃ...。」
「ほんとだ。ごめんな。こんな時間まで。」
「ううん。大丈夫。じゃまたね。」
「柚衣!まって!」
ドキンっ。えっ、いきなり呼び捨て...。
「な、なに!?」
「送ってくよ。遅いし。」
「だ、大丈夫だよ、」
「でもさ、女の子一人にするわけにはいかねぇし。遠慮すんな。俺について来い」
「う、うん...。」
そんなこと言われたの初めてだ。
すごく嬉しい。
しばらくして、家に着いた。
「あ、ありがとう、こんな遠くまで。」
「いいって、気にすんな!んじゃ、学校でな!」
「うん。ばいばい。」
陽向はわたしの心をあったかくしてくれた。
また、会えないかな...。