桜と散る恋
「お待たせしました、斎藤さん!」
「あぁ。じゃあ、行くか。」
私は悩みに悩んだ末、今持っている服の中では一番お気に入りの、紫色の上品な着物を選んだ。
私はどちらかといえば童顔だから、これが似合っているかどうかはわからないけど…
「斎藤さんは非番の日、どうやって過ごされているんですか?」
「どうやって…?そうだな、刀の手入れや…隊士達に稽古をつけたり、自分も稽古したり…」
なんだか予想通りと言えば予想通りだ。
「じゃあ、こうやって私用で外に出るのは久しぶりですか?まぁ、私用といっても斎藤さんからしたら任務みたいなもんですけど…」
「確かに…そうだな。まぁ、久々のまったりできる外出だ、俺も気分は悪くはない。」
普段からあまり変わらない彼の表情が少し明るくなったように見えた。
「これからどこに行きましょうか?」
「お前はどこに行きたい?お前のための外出だ、決めていいぞ。」
「じゃあ……買うつもりはありませんけど着物とかみたいです!あと、甘いものも食べたいかな…」