桜と散る恋
2章 働かせてください!
「………ここは?」
「やっと目を覚ましたか。」
目を冷ますと、知らない部屋の知らない布団のなかにいた。
横には昨日の青年が座っている。
「お前が急に倒れるものだから、一応屯所に運んだ。」
「あ、あの、昨日はありがとうございました!」
「礼を言われるほどのことでもない。落ち着いたらさっさと帰れ。こんな男所帯に何日も置いておくわけにはいかないからな。」
「………」
「どうかしたか?」
「帰るところ…ないんです。」
私の一言に、彼は少し驚いた表情をみせた。
そして、
「あいにく俺にお前を匿えるような余裕はないが、今日は非番だ、話ぐらいなら聞いてやろう。」
と言った。