桜と散る恋
私は、ここ数日のことを全て彼に話した。
「そうか……」
そして彼は難しそうな表情をする。
「…近藤局長に取り入れば、ここの女中ぐらいにはなれるかもしれん。」
彼の口から出た言葉は意外なものだった。
「本当ですか?!」
「まぁ、可能性は低いがな…」
やっぱり、そんな簡単に仕事が見つかるわけないか……
でも、とりあえず折角のチャンス、無駄にはしたくなかった。
「局長さんというかたはどちらに…?」
「ついてこい。」
私は布団から起き上がろうとした。
だが、
「わっ?!」
食べ物をほとんどとっていないせいか、力が入らず立てない。
「…そんな風になるまで食べないとは…まったく、何があっても命は無駄にしていいものではない。まぁ、俺が言えたことではないが。」
彼は一瞬悲しそうな顔になり、それから懐に入っていた饅頭をくれた。
「あ、ありがとうございます!」
私はそれを一口で飲み込んだ。
「食い意地のはった女だな…」
不意にそんなことばをかけられて、私はハッとした。
「ち、違います!」