桜と散る恋


局長室を出ると、私は斎藤さんを探した。


外に出たときは既に彼の姿はなく、私は慣れない屯所を歩き回った。


曲がり角を曲がろうとしたとき、


「うわっ!」


誰かとぶつかった。


「す、すみません!!」


「いたたた……あれ、君一くんが連れてきた女の子?」


「一くんって、斎藤さんという方ですか?」


「そうそう、一くんが女の子連れてくるなんて何事かと思ったよー、天変地異の前触れかもね。」


そう言うと、彼はあはははと笑った。


「そういうわけではないんですけど……」


「ごめんごめん、からかっただけだよ。僕、沖田総司。よろしくね。君は?」


「篠宮桜です。よろしくお願いします。」


「よろしく、桜ちゃん。」


そう残して、彼は廊下へと消えていった。
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