悲劇の姫〜海賊になった少女〜
「はい!」
掃除道具を隅において、アンナは部屋から出ていった
『コーデリア!朝飯は食うか?』
「………どうせないんでしょ?」
空耳に返事して、船を思い出す
「はやく迎えにきてよ……」
このお城で暮らせば、船酔いすることもないし、病気してもすぐに名医が集めら
る。
ご飯も美味しいし、街に出かけるのは馬車でしょ?
それなのに、どうして?
心にぽっかりと空いた穴は何をしても塞がらない……