悲劇の姫〜海賊になった少女〜
5 思い出させないで
「ワイアットです。入ります」
船長室のドアをあけ、私は船長に頭を下げた。
「貴族みたいだな。」
「え?」
「仕草だ、すべての。
頭の下げ方にも種類があるだろう?
下っ端のやつらは、首を動かすだけさ
それなのに、お前は腰からまげるだろ?
ドレスの裾をあげるような仕草をして。」
何も言えなかった。
それは、トリスタンにも指摘されなかったことだったから。
「どうでもいいか。お前は男。そうだろ?」
「はい…。」