悲劇の姫〜海賊になった少女〜
5 思い出させないで


「ワイアットです。入ります」


船長室のドアをあけ、私は船長に頭を下げた。


「貴族みたいだな。」


「え?」


「仕草だ、すべての。
頭の下げ方にも種類があるだろう?

下っ端のやつらは、首を動かすだけさ
それなのに、お前は腰からまげるだろ?
ドレスの裾をあげるような仕草をして。」


何も言えなかった。
それは、トリスタンにも指摘されなかったことだったから。


「どうでもいいか。お前は男。そうだろ?」


「はい…。」

< 36 / 154 >

この作品をシェア

pagetop