悲劇の姫〜海賊になった少女〜
こんなにも、辛いなんて思わなかった。
自分の過去と向き合う、
『コーデリア様、強くなってください…』
トリスタンの顔が頭に浮かぶ。
「強く……」
その時、どこかのガラスが割られる音がきこえた。
貴族たちの悲鳴が上がったかと思えば、山賊と思われる奴らがお城の中に入ってくる。
「……どうして今日はこんなにも残酷なの?」
独り言をつぶやき、出口にむかう人達とは反対の方に歩き始める。
一人の女の子が泣けば、『五月蝿い!!』と怒号があがる。
我先に!と外に向かおうとすれば、転けてしまい、また混乱が起こる。
柱の隅に隠れると、私はドレスを脱ぎ捨てた。
仮面は外さずに、髪を縛る。