だから俺と、付き合ってください。
ただの特訓だよ……?
そんな言い方したらダメだよ。
……私、なんか嬉しいって、思っちゃったよ。
勘違い、しちゃう。
私のこと、大事にしてくれているんじゃ、ないかって……っ。
「あ、藤田!行こう!」
学校前の校門。
もともとそこで待ち合わせていた私たち。
「うん……!」
駆け寄ると清瀬くんの隣を歩く。
わざと少し遅れるように校門へ向かった。
清瀬くんとのウワサが立ったらマズイかなぁって思ったから。
好きな子がいる彼にとっても。
彼氏と別れたばかりの、私にとっても。
……私って、すごくズルい。
先輩と別れたばかりだから、清瀬くんと一緒にいるところを他の人に見られることを恐れてる。
『もう他の男に乗り換えてる』
先輩のファンは多いから。
そんなことを言われるんじゃないかって、考えてる。
だから待ち合わせに、わざと遅れて……。
ズルすぎるよ、私……。
性格、悪いよ……。