だから俺と、付き合ってください。



「あ、そうだ。ボールをウチに取りに帰ってから公園に行ってもいいかな」



いつもより一本先で電車を降りて歩いていると、清瀬くんがそう言った。


そっか。練習するのに肝心なボールのことを忘れていた。


うなずくと「ありがとう」と微笑んでくれて、少し得をしたような気持ちになる。


……清瀬くんの笑顔の破壊力ったらない。



「わりぃ!ちょっとだけ待っててな!?」


「うん」



清瀬くんの家の前につくと慌てた様子で玄関の扉を開けて中に入って行った。


そんなに慌てなくても……!


そう言いたくなるほどの、慌てっぷりに笑った。


それにしても、ここが清瀬くんのお家……。


二階建ての一軒家。外観はどこにでもあるような感じで、でも玄関前のガーデニングたちを見ると中も綺麗そうだなぁ。


清瀬くんのお母さんがしてるのだろうか……。


なんてぼんやり思っているとバタン!と扉が開いて閉まる音がして、顔を上げると目の前には清瀬くん。



「お待たせ!行こう!」


「ありがとうね。わざわざ」


「いいってことよ!」



……ほんと、男前な性格だなぁ。

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