だから俺と、付き合ってください。



下駄箱で上履きからローファーに履き替える。


……思えば、ここで清瀬くんのラブレターを拾ってからだよね。


いろんなことが動きだした。


それまでの私はずっと立ち止まっていたと思う。


先輩とのこと、あんまり考えないようにしていたから。


だけど、清瀬くんの書いたラブレターを見て。私の忘れかけていた気持ちがよみがえったんだ。


……誰かを好きになる純粋な気持ち。


すごくきれいだと思った。


真っすぐで、透明で。強くて、ひたむきで。


そんな想いに、私も惹かれた。


私もそんな風に恋をしたいと思ったし、私もそんな風に愛されたいと思った。


清瀬くんの恋に憧れたんだ。



「ふーじたっ!」


「き、清瀬くん……!?」


「なに難しい顔してんの?」



突然現れた彼に心臓が飛び出すかと思った。


さっきまであっちにいたのに、いつの間に!?


……ほんと、やめてほしい。


心臓が痛いほど、びっくりした。




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