だから俺と、付き合ってください。



「ありがとう、清瀬くん」


「いいえ! 一緒に帰ろう?」


「……うん」



ねぇ、清瀬くん。


清瀬くんは何気なくこうして私のとなりにいて、一緒に帰ろうと誘ってくれてるのかもしれない。


もしかしたら、清瀬くんは優しいから。


私が明日のことで悩んでいると思って励まそうと、一緒に帰ってくれているのかもしれないね。


……でも、知りたいと思ってしまう。


清瀬くんはどんな気持ちで私に『一緒に帰ろう』って言ってくれたの?


なにげない、言葉の裏。その奥。


そこにはどんな気持ちがあるの?


……って、ただ単に、帰り道が同じだけだよね。


それ以上の理由なんてあるはずない。


清瀬くんにとって私は友達。


それ以上でも、以下でもない。


わかってることじゃん。


清瀬くんには好きな人がいるんだから。


あの、清瀬くんの気持ちがたくさんこもったラブレターの相手。



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