だから俺と、付き合ってください。



「くくくっ!藤田、耳まで真っ赤だよ」


「うるっさいなぁ! 暑いだけだもんっ!」



ちょっと、笑いすぎだし!!


声をださないように声を押し殺しながら肩とのどで爆笑する清瀬くんを顔を赤くして見る。


……前に私に笑いのツボが浅いとかって言ってたけど、清瀬くんも人のこと言えないんじゃない?



「もうっ、清瀬くんなんか知んない」


「ごめんって! ……許せ、藤田」


「あの漫画の名シーンっぽく言ってもダメだからね」


「あ、わかった?」


「うん、まあ一応。その漫画好きだし」


「マジで!俺も!」



そのあと学校の最寄り駅につくまでの間、その漫画についてふたりで話した。


あのシーンが好きだとか。

あのセリフが良かったとか。



「まさか藤田が少年漫画好きだなんて、意外だった」



電車を降りて、改札を抜ける。


私も清瀬くんとこんなに漫画の話題で盛り上がれるなんて思ってもみなかった。


ほんと、私たちって……。



「俺たちってほんと気が合うよな!」


「そうだね」



……うん。私もそう思ってたとこ。




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