だから俺と、付き合ってください。
わざと聞こえるように言われた言葉たちに胸が痛くなる。
……居心地が悪い。
悔しさにくちびるをキュッと噛んで目線を下にしていると目の前で立ち止まった足音。
「どうしたの、藤田」
「清瀬くん……」
顔をあげる首をかしげる清瀬くんの姿があった。
キョトンとしたそのあどけない表情にズキズキしていた心の痛みが少しずつ緩和されていく感覚。
清瀬くん……。
「藤田、スマイルスマイル!」
「え?」
「藤田が笑っててくれなきゃ。俺、頑張れねーんだけど?」
ーードキンッ。
フッとこぼすように笑うとクラスメイトのところへ走って行ってしまった清瀬くんを目で追った。
プシューッと音を立てて赤くなる顔を、両手で包み込んだ。