だから俺と、付き合ってください。


ちがう、ちがう!


清瀬くんは、様子の変な私を勇気づけるために言っただけだらね!?


勘違いしないでよ、私!



「…………」



トクトクなり続ける胸の鼓動を感じて。

苦しくて、でも、幸せで。


我慢しても溢れてくる気持ちを抱きしめて、彼を見つめる。


ーーピーー!


ホイッスルの合図で試合がはじまった。


好きな人がいる人を好きになったらどうしたらいいの。


清瀬くんは私の幸せを願ってくれたのに、私は清瀬くんの幸せを願えない。


諦めたくても、諦めきれないよ。


清瀬くんが好きだよ……私……。


胸がすっごく痛い。
片想いの切なさに、胸が痛い。


胸に手をあてると、泣きそうになるのをくっとこらえた。



「先輩がんばれ!」

「せんぱーいっ!」



耳が痛くなるほどの、先輩への声援。


でも、私の目は真っすぐに清瀬くんを見つめている。
清瀬くんだけを。


がんばれ……。がんばれ……。


清瀬くん。




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