だから俺と、付き合ってください。
「清瀬くんの好きな子、今の試合見に来てた?」
……どうして聞いてしまうんだろう。
聞きたくないのに、聞きたい。
知りたくないのに、知りたい。
そんなことを思ってしまう。
「うん。見てくれてたよ」
ーーズキッ!
胸が痛くなって、思わず顔をしかめそうになるのを必死にこらえた。
「そっかぁ!よかったね?」
清瀬くんに変な気を遣わせないように、無理やり笑って見せる。
今の試合、ユカも見ていたから……やっぱり清瀬くんの好きな人って、ユカ?
聞きたいけど、そこまでは聞けない。
好きな人の好きな人が、親友だなんて知ったら、きっと立ち直れない。
それなら今のまま。知らないままがいい。