だから俺と、付き合ってください。



「キャー!先輩が今こっち見たよっ!」



となりにいた女の子の黄色い声に圧倒される。


修二先輩のとなりにいたいと願う女の子なんて、山ほどいる。


……こんなキレイな人も修二先輩のこと狙ってるんだ。


キレイな先輩たちとお子ちゃまな自分を見比べて、肩を落とす。


なんの取り柄もない、地味で、普通な私なんか見てもらえるわけないってわかってるのに、なんで追いかけるんだろう。


なんでこんなに好きなんだろう。



「…………」



ネガティブになりかけていた頭の中をなぎ払うように頭を左右に振る。


ダメだ。こんなの。こんなんじゃ。


強く、ならなきゃ。


恋してるんだから。


片想いなんだから。


そんなの、わかってることじゃん。


恋する乙女の心は強くなきゃ。
恋なんて、やってらんないんだから。








それからしばらく経った日の、放課後。


もう少しで夏休みがはじまる7月。



「あっ……」



テスト前で部活動がお休みなのは知っていたから今日は真っ直ぐ帰ろうと思ってたのに。


……のに。



「あ、キミって確か……」



会えちゃった。


……大好きな、先輩に。


ばったりと、昇降口前で。


クツを履き替えて、外へ出ると横に先輩がいるんだもん。


……心臓止まるかと思っちゃった。


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