だから俺と、付き合ってください。



「次、私たちの試合だね」



ユカがそう言うと1組のみんなを呼び集めている。


……とうとう来てしまった。

あぁ、清瀬くんとやってきた練習と同じように上手くできるか心配だよ……。


ぐるぐる不安になる胸を抱えてコートの方に向かうと、そこには審判の目印である赤いゼッケンを着た清瀬くんがいて。


え、あ、うそ。


清瀬くんが審判する試合って、私たちのクラスの試合だったんだ。



「……っ……」



目が合うと、ニッと笑う彼。

すると清瀬くんの口が大きく動く。


……ん?



「が……ん、ば……れ……?」



清瀬くんの口もとが確かにそう動いたのを私は見た。


ーードキッ!



『がんばれ』



大好きな人からの、秘密の応援。

胸がドキドキして仕方ない。


まるで、魔法みたいだなと、思った。


笑って大きくうなずくとクラスメイトの横に並んで対戦相手と整列した。


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