だから俺と、付き合ってください。
ひとつの体育館でいくつもの試合が行われているなか、私の転倒する音なんてすごくちっぽけなこと。
でも、ちょっと待って!!
「……っ……」
いったいなんなのあの先輩!!
今、私のこと完全に押したよね!
こんなことされなきゃいけない筋合いないんですけどっ!?
「綾乃っ、大丈夫?」
転んだ私に気づいたユカが声をかけてくれた。
私は「うん!」と頷いて立ち上がろうとした時だった。
ーーズキッ!
鈍い痛みが、足首に響く。
ウソ……でしょ。
もしかして、転んだ時ひねった?
できるだけ平常心で、苦しい顔を隠す。
チームに迷惑をかけたくないから。