だから俺と、付き合ってください。



ーーえ?


そう先輩と同じように言葉を漏らしたくなったけど、出なかったのはあまりに驚きすぎたからだ。



「それ、どういう意味?」


「先輩、自分の立場を自覚してください。人気のある先輩が元カノである藤田と親しく話していたらどうなるかぐらい先輩だったらわかるでしょ」



ここからじゃ清瀬くんの背中しか見えなくて。だから、どんな顔をしているのかが見えない。


……清瀬くん、さっきの試合でのできごと見てたんだ。


だから先輩にこんな強気で話してくれている。


私の、ために。



「俺、藤田のこと大切なんで」


「…………」


「藤田のこと傷つけないでください」



清瀬くんはそう言い切ると頭を一度下げ、私の手を掴むと「行くぞ」と、いとも簡単に私のことをお姫様だっこした。


え、あ、ちょっと……!



< 168 / 213 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop