だから俺と、付き合ってください。



叶うことのない恋、だけど。



「清瀬くん」

「はい」

「何度言えばおわかり頂けるのかな……?」

「ひぃい!」



机をバン!と叩きたい衝動を抑えてくっとこらえる。


同じミスを繰り返して間違えてるよ。
清瀬くん、本当に勉強苦手なんだね。



「藤田がこわい……」


「なんて?」


「いや、なんでもございません!」



でも、一生懸命やってるのはわかる。
夏休みのライブ、本当に楽しみにしてたんだろうなぁ。


前は私の苦手な運動の練習に付き合ってもらって、今度は清瀬くんの苦手な勉強に付き合って。


お互いの苦手なことを、お互いの得意なこと。
それぞれ全然違って。


だけど好みは似てる。


笑のツボも同じ。
最近気づいたけど、ふたりいつも同じタイミングで笑ってる気がする。



ーー「俺たち付き合ったら上手くいくかもな」



この前の清瀬くんの言葉を思い出す。


……だったら。

私じゃ、ダメかな?清瀬くん。



< 179 / 213 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop