だから俺と、付き合ってください。
13*好きな気持ちを素直に
なぜかはわからないけどあの日以来、私と清瀬くんの間に見えない壁を感じるようになった。
お互いがお互いに遠慮しているような、そんな感じ。
電車で会っても、お互いにぎくしゃくしている。
そして放課後の勉強会の約束も、清瀬くんが「自力で頑張るわ」と言ったので行かなかった。
優しい清瀬くんのことだから、先輩とよりを戻したと思って遠慮してくれているのかもしれない。
……こうやって距離ができていくのかな。
でも、それもいいのかもしれない。
私は清瀬くんが好きだから。
距離ができて、時間が経って。
そうしていれば自然と忘れられるのかもしれない。
今はそんなことできる気は1ミリもしないけど。
辛くても、苦しくても、好きなことは自分の意思でやめられることじゃない。
自分の気持ちなのに、コントロールできない。
「本当に行かないの?」
「なにが?」
「太陽たちのライブだよ」
まただ。
こうして毎日のように昼休みや放課後など、ことあるごとに同じことを繰り返すユカにため息を吐く。
どうしてユカはそんなに私にライブに行くようにすすめるの?
「行けないんだもん」
「先輩とデートだから?」
「……うん」