だから俺と、付き合ってください。
サッカー部の練習着を羽織った先輩が壁に寄りかかるように立っていて、全然気づいてなかったからすごくビックリした。
まるではじめて会話をした日みたいだ。
「なんでライン無視するの?」
「えっ?」
「なんで練習見に来ないわけ?」
不機嫌です、と、言ってるかのような先輩の表情に胸がドキリと痛くなる。
久しぶりにこうやって、会えたのに。
やっぱり切ないや……。
「い、行きませんよ……」
「なんで?」
「なんでって……」
……え、ちょっと待って。
なんでこっちに歩いて来るんですか。
眉間にシワを寄せた先輩がこちらに歩み寄って来る。
ジリジリせめ寄られて思わず目をそらして後ずさる。
「あの、ちょ……先輩?」
「俺、嫌われるようなことなんかした?」
「いや、あの、その……」
「なに、ハッキリ言ってよ」
言葉の端々にトゲがある。
……怒ってるんだ。
「先輩、好きなこがいるんですよね?」
「は?」