だから俺と、付き合ってください。
「藤田ー?だいじょーぶかぁー?」
黙って先輩のことを考えていた私に届いた能天気な声。
はっとして顔を上げると清瀬くんが私の顔を覗き込むようにしていて。
慌てて「ゴメン!ぼうっとしてた!」と、おどけて笑って見せた。
いけない。
考えないように、しなくちゃ。
最近になって先輩のことを考えるたび、先輩への気持ちがすり減って行ってるみたいで……イヤなんだ。
消えそうな火が風に揺れるように。
先輩への気持ちが薄れてるのがわかる。
もっといい人がいるんじゃないかって、考えてしまわないように。
……そう、たとえば。
清瀬くんみたいに好きな子のことで悩んでくれる男の子とか。
私も、もっと大事にされたいって、思っちゃう。
清瀬くんの純粋でひたむきな想いを乗せたあのラブレターを拾った時、確かに私の胸は高鳴った。
羨ましいって、すこし考えもした。