だから俺と、付き合ってください。



……もう、先輩のことなんて、忘れてしまいたい。



ーーピリリリリッ。



あっ……。


いつものアラーム音で目が覚めて、いつの間にか眠っていたことに気がつく。


カーテンの隙間から漏れて来る朝日が眩しい。


身体がダルいや……。


泣きながら寝ちゃったのかな。



「ヒドイ顔……」



洗面台の鏡に映った自分の顔に苦笑い。


目は腫れてるし、顔色も悪い。


ポーッとして頭もうまく働いてくれない。


モタモタしたせいでお母さんの朝ごはんを食べ損ねた。


最悪だ……。



「行って来まーす」



空腹のまま家を出た。


ああ、大好きなお母さんのスクランブルエッグ食べたかったのに……。


なんて思いながら電車に飛び乗った。



「藤田!」



ふぅーと息を吐いた私の肩を軽く叩いたのは清瀬くんだった。


席はまんべんなく座られていて、いつも座れない。


ドア付近の手すりに掴まるのが、お決まりなんだけど。


< 48 / 213 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop