だから俺と、付き合ってください。
なんてことを考えていたら降りるべき駅に到着して、清瀬くんと二人で改札を抜けた。
そしてまた何気ない話をしていた時に、目に飛び込んで来た人物に心臓が跳ね上がる。
ーードクンッ……。
「おはよ、綾乃」
そう言って微笑むのは……。
「修二、先輩……」
ザワザワした駅前の道。
同じ学校の生徒や、出勤中のサラリーマンがそれぞれ歩いているなか。
先輩が電柱に寄りかかるようにして、手をポケットに入れて立っていた。
うそ……なんで……。
微笑む先輩に、私は、うまく笑えない。
会いたかった先輩に、会えたのに。
「あ……じゃあ俺先に行くな?」
清瀬くんが私の視線の先にいる先輩に気づいてそう言ってくれて。
先輩に頭を下げてから清瀬くんは先に行ってしまった。
数回まばたきを繰り返すと止めていた歩みを先輩に向けた。
「先輩、なんで……?」
「ん?一緒に学校に行こうと思って」
そう、なんだ……。