だから俺と、付き合ってください。


……そんなの、自分で考えてください。


なんて冷たいことは、目の前で存分に悩んだようにため息を吐く彼には言えなかった。



「どんな子なの?」


「んっとねー、とにかくいつも笑ってて、明るくて、かわいくて……ってオレなに言ってんだろ」



プシューっと、音を立てて顔を真っ赤にさせた彼がおかしくて笑う。


手で顔を覆い隠しているみたいだけど、見えてますよ?


その子のことがすごく好きなんだろうなってことが、表情や言葉の端々から伝わって来る。


真っ直ぐで、純粋で、清瀬くんの恋、

うまく行くといいなぁ。



「誰かとか、聞いてもいい?」


「それはダメだろぉーっ!教えてやんねーしっ!」



……ですよね。


でもウチのクラスの下駄箱のところに落ちていたから、私と同じクラスの女子ってことは間違いないだろう。


え、でも、誰だろう……?


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