だから俺と、付き合ってください。
ーーサアァ……。
風が優しく吹いて、先輩のフワフワした黒い髪の毛を軽く揺らした。
真っ直ぐに私を見てくれてる瞳。
反省したことをちゃんと伝えようとしてくれているのが、わかる。
欲しかった言葉がもらえたのに、思っていたほど喜べないのは、まだ私の心の中に彼がいるからかな……。
「今度は絶対綾乃のこと放っておいたりしない!大事にする!もう二度とあんな風に泣かせたりしないから……!」
必死になって私に言葉を伝えている先輩。
そうだ。
先輩は告白したあの日も、必死だったよね。
……もう一度、信じてみたい。
先輩も、私の中にある先輩への想いも。
やり直せるんだって、信じたい。
……だけど、私の中には先輩への気持ちと同じぐらいに膨らんだ、あの人への想いも、あるんだ。