生きることの意味【完結・加筆完了】
「……」
呆気にとられて何も言えずにいる、あたしに向かって両腕を広げる。
「おいで」
まだ、フェンスにみっともなくしがみついてるあたしに彼が言う。
なんだか。
本当にわからないけど。
泣けて来て。
大人しく言うことを聞いて、あたしはフェンスから降りて。
引き込まれるまま、彼の腕の中に収まった。
「よしよし」
真紅の髪の色をした、彼は。
淡く、柔らかく笑って。
まるで子供をあやす様にあたしの頭を撫でた。
彼の腕の中で、散々泣いたあたしは。
ぽつり、ぽつりと彼に今まで遭ったことを話していた。