生きることの意味【完結・加筆完了】
「何でもいいって言うから牛丼食べたいって言ったのに、嫌な顔されるんだよ?」
「……」
「めっちゃ美味いのに、じゃあ最初からどこでもいいなんて言うなよって感じじゃない?」
「……」
「お、怒った?」
黙ってたあたしが怒ってると勝手に思った緋人は、不安そうに顔を覗き込む。
別に怒ってないんだけど。
ちょっと驚いただけで。
「怒ってないし」
「本当?」
「本当。驚いただけ」
「驚く?」
「だって、緋人そんな怒らない感じするし」
愛想笑いかもしれないけど、緋人は終始笑ってたし。
その緋人が怒るってのはどこか意外だ。
「そうでもないよ」
「そうなの?」
緋人は頭の後ろで手を組むと、こっちを見てニコッとした。