生きることの意味【完結・加筆完了】
「結構俺、短気。俺が撮影してる時、京香さんに何か言われたでしょ?」
「え」
そう言う緋人にあたしは目をぱちぱちとさせる。
京香さんと話してたとこ、見られてたんだ。
「杏奈の顔が曇ってたから、俺めっちゃムカついてた。
だから、テレビで絶対杏奈の事言ってやるって思ったよ、俺」
「ちょ。それってダメでしょ」
京香さん、今が大事だって言ってた。
いや、今時彼女の一人や二人いるとか公にしても平気だとは思うけどさ。
緋人が仕事よりあたしを優先なんてしないと思うし。
あたしが問題になるなんてないよね。
そこまで心配する理由がわかんないなあ。
「俺は大声で杏奈が彼女ですーって言いたいんだけど」
「それはやめてね」
「杏奈、何かされたら絶対に言えよ?
いじめられたら俺がそいつらいじめ返しに行く」
「いや、いいです」
「何で?杏奈がいじめられてるとか耐えられないけど」
「だって、あたしももう素直にいじめられてやるつもりない」
「え」
そう発言したあたしに、緋人は目を真ん丸にする。
あたしは生まれ変わるって決めたんだ。
緋人に助けられた時にそう決めたんだ。