生きることの意味【完結・加筆完了】


「さ、降りよ」



緋人はあたしの手に自分の手を絡め合わせると、ホームへと降り立った。
その後ろ姿をあたしは黙って凝視するしかなかった。



完璧、声をかけるタイミング失った。



ちょっと待ってよ。
昨日の、あの屋上で会ったのがあたしと緋人の初対面じゃないの?


その前に会ってたわけ?
わけわかんないんだけど。


じゃあ、緋人はあたしを知ってたって事?
でも、名前聞いてきたりしてたよね。


あたしを知らない感じだった。
もちろん、あたしだって知らない。



さすがにこんな印象的な髪の色、憶えてると思うんだけど。



緋人の事を一つ知ったら。


一つ、知らない事が増えて行く様な気がした。
< 136 / 332 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop