生きることの意味【完結・加筆完了】
「さ、降りよ」
緋人はあたしの手に自分の手を絡め合わせると、ホームへと降り立った。
その後ろ姿をあたしは黙って凝視するしかなかった。
完璧、声をかけるタイミング失った。
ちょっと待ってよ。
昨日の、あの屋上で会ったのがあたしと緋人の初対面じゃないの?
その前に会ってたわけ?
わけわかんないんだけど。
じゃあ、緋人はあたしを知ってたって事?
でも、名前聞いてきたりしてたよね。
あたしを知らない感じだった。
もちろん、あたしだって知らない。
さすがにこんな印象的な髪の色、憶えてると思うんだけど。
緋人の事を一つ知ったら。
一つ、知らない事が増えて行く様な気がした。