生きることの意味【完結・加筆完了】


翌日、学校に行く準備を完璧にしたあたしがマンションを出ると、やっぱり緋人はそこに立っていた。
相も変わらずに、緋色の髪の毛を揺らして。



「おはよ」

「おはよ」



そう挨拶すると、隣に並ぶ。
だけど、緋人は無言だ。



うるさいって印象しかないのに、こうも無言だと不安になる。
あたしはちらっと緋人に視線をやるが、緋人は何やら思案顔で真っ直ぐ前を見ている。


何かあったのかな。そう思った矢先だ。



「なあ」

「え?」



緋人が視線を伏せると、それをあたしに移した。



「何でメールないの?」

「……は?」


えっと。何の話?
あたし、メールするって約束したっけ?



キョトンとした顔をするあたしに、緋人は眉間に皺を寄せる。
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