生きることの意味【完結・加筆完了】
それから、あたし達はホームに到着すると電車を待つ。
やっぱり感じる視線。
それは緋人への好意的なモノと、あたしへの悪意的なモノ。
緋人の隣にいるのが、あたしみたいな子って事が許せないんだろうな。
人間って勝手だ。
自分より劣ってると思ったら認めたくないなんてさ。
「今日は話しかけられないんだね」
素知らぬ振りをしてる緋人に、あたしはぼそっとそう言った。
緋人は「ん~」なんて気の抜けた声を出すとあたしを見てニコリと笑った。
「毎日じゃないよ。たまーに。昨日はそれにぶち当たっただけ。
杏奈は運が悪かったかもね」
「……」
自分の運の悪さに泣きそうになるわ。
「それに、朝よりは放課後の方が話しかけられるからさ」
「あー、成程」
「連絡先教えてくれますかって言われる事多いけど、教えないからね。俺」
「え、そうなの?」
「だって、気持ち悪いじゃん。そこからもしかしたら知らないヤツのとこに回るかもだし」
「ああ。確かに」
「それに、今は彼女もいるから余計ね」
「一応、ね」
「一応でも何でも彼女だからいいの」
「そっか」
名前だけの彼女でも、緋人は嬉しいと思ってくれるんだな。