生きることの意味【完結・加筆完了】

緋人の制服の裾を掴むと、あたしは俯きながら口を開いた。



「ありがと。けど、緋人は別にそのままでも充分だよ」


いじめられてるあたしにとったら、人気モデルの緋人は高嶺の花なんだから。
その緋人の髪の毛が変わろうが変わるまいが、それに変化はない。



「……杏奈」

「……」

「ちゅーしたい」

「は?やめて。無理」

「無理って傷付くんですけど」

「あたしが好きで堪らなくなってするまで待ちなさい!」


こうでも言わないと、いつか緋人は勝手にキスしそうだ。
あたしが好きになるまではダメなんだから。


そう思って言ったのだけども。


「……」


緋人はさっきよりも顔を赤くして、目を見開いてあたしを見つめていた。
それから、口許を手で隠すと

「それ、なんか、破壊力抜群」

なんて漏らした。
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