生きることの意味【完結・加筆完了】


いや、どこをそんな照れるのかわかんない。
あたしからするとは言ったけど、それは好きで堪らなくなったらって意味だし。


今の段階で、それはあり得ない。
あたしは緋人を好きって感情では見ていないから。

凄いなあとか、カッコいいなあって思うとこはあるけど。


眉を顰めながら考えていると、緋人が突然あたしの髪の毛をぐしゃぐしゃにして来て「わ」って驚いた声が飛び出た。
抗議の意味も含めて緋人を見上げるが、緋人は照れた様な笑みをその顔に乗せると言った。


「俺、待ってるわ」


へへ。なんて気の抜けた笑い声も付け加えて。



「……しないかもよ?」

「して来ると思うよ」

「また、どこにそんな自信」

「だって、俺杏奈のヒーローだもん」

「ヒーローって」

「正義の味方」

「……なんだ、それは」


呆れながら、小さく溜め息をつく。
まあ、確かに。ヒーローってのはあながち間違ってない。

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